太陽と月
口づけをされた、額が熱くなるのが分かった。


恥ずかしいと言う気持ちと同時に、もっとして欲しいと言う欲望が生まれる。


「椿・・・」颯介が口を開こうとした時、颯介の携帯の音がなり颯介は私から離れる。


「もしもし・・・」耳に携帯を当てながら、ベンチから席を立つ。


一人取り残された私は、自分で額に触れる。もし、携帯が鳴っていなければ私はきっと


“もっと”と懇願をしていたと思う。


「椿、今日はここまで。今日の事は忘れないで」私のもとに戻ってきた颯介は微笑みを浮かべていた。


「どうしたの?」そう尋ねる私に、


「ちょっと野暮用」そう言うと私のもとから離れ、暗闇に消えて行った。


私はしばらく、その場から動けずにいた。夜空を見上げると、先程まで見えていた月は暗闇に隠れている。


明日は、美月達とのデートだし、早く部屋に戻って寝ようと思い、家の中に戻る。


そんな私を陰から見ていた事に気付かなかった・・・。
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