太陽と月
先に歩く美月と卓也さんの後ろを、タケさんとついていく。


後から見れば、2人はどこにでもいるカップルに見えた。


美月が、卓也さんの腕に自分の腕を絡ませ時よりとびっきりの笑顔を向けていた。


「ねぇ椿ちゃん!俺達も腕組む?」タケさんに声をかけられた。


「えっ!?いやいや・・・結構です」


いきなりそんな事を言われて面喰ってしまった。


「冷たいな~」そう言いながらもニコニコしているタケさん。


見た目とは違って、人懐っこい笑顔を見せてくれる。


「椿ちゃんは好きな奴いる?」またいきなりの発言に驚いてしまった。


「・・・いません!」


即答したつもりだったけど、


「あっ居るんだ。今、間があったもんね~」とクスクス笑われた。


好きな人なんていない。私には恋なんて出来ない。そんな資格すらない。


陽介に抱いている感情はきっと”家族愛”の好きだ。


じゃあ颯介は・・・??


自問自答してみても答えは見つからなかった。


颯介の傍にいたいと思うし、私の傍に居て欲しいとも思う。


どんな事を言われても”愛おしい”と思う自分もいる。


でもこれは恋なのかな・・・


「椿ちゃ~ん??」


突然、タケさんに顔を覗き込まれる。


「どうしたの?何か違う世界に行ってる?」そう言ってまたクスクス笑われた。


何か言わなきゃ!そう思った時に、前を歩いていた美月が振りむいた。
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