太陽と月

「美月はいい子だよ。友達思いだし、いつも笑顔だよ」


心からそう思った。


こんな私に笑顔で話しかけてくれた。美月は大切な友達だ。


美月の前ではそう思いたい。


今だけは、そう思いたい…。



「やっぱり!美月はいい子なんだ」そう言って、卓也さんが笑った。


ますます照れる美月。


隣のタケさんが、頬杖をつきながら


「おーおーお熱いねー」と冷やかした。


穏やかな空気になって、ほっとした。


「椿ちゃんはどんな人がタイプなの?」今度は私の方を向いて卓也さんが聞いてくる。


この流れはマズいと思った時、やっぱり視線を感じた。


目の前にいる美月だ。ほんのさっきまで笑顔だったのに、今は独占欲で溢れている。


「あぁー…えーと…」何て答えるのが1番ベストなんだろ?頭をフル回転させるも、中々思い浮かばない。


そんな私に助け船を出してくれたのはタケさんだった。


「俺はねー!年上のお姉様!そんで黒髪!これ絶対!」聞かれても無いのに自分の好みの女の子の話をする。


「お前に聞いてないよ。ってかお前が年上好きなのは、何か買ってくれるからだろ?」と話の矛先はタケさんになり、美月もその話に乗り始める。


良かった。なるべく、卓也さんに話を振られない様にしたい。


4人でタケさんの恋愛話や、学校の話をしていると注文していたパスタやピザが届きテーブルの上に並ぶ。


どれも美味しそうで食欲をそそられた。


食べながらさっきの話の続きで盛り上がった。


4人で全部を平らげた後に、美月に


「椿!お手洗い行こー!」と誘われた。


特に行きたいとは思ってなかったけど、断れる雰囲気じゃなかったので一緒に行く事にした。
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