太陽と月

こうして、男の人にご馳走してもらうなんて無かったから、少し嬉しく思った。


何だかデートって感じで。


ここのお店美味しかったから、次は颯介と来たいそう思った。


店を後にして、遊園地に向かう最中も美月は私を見る事なくずっと卓也にベッタリだった。


必然的にタケさんと2人で取り残されてしまうので、2人で話すしかなかった。


「椿ちゃんも美月ちゃんも大人っぽいよねー」とタケさんに言われ、凄く嬉しく思った。


私は早く大人になりたい。


大人になって大切な2人と交わした約束を果たしたい。


その約束は、あまりにも矛盾したものであったけど叶えたい、そう強く思う。


「ありがとう。早く大人になりたい。大人っていつになったらなるのかな?」


そう呟いた私に


「大人になりたいの?そんなに楽じゃないよ。」


そう返されたけど、早く早く大人になりたいと思う。


私の返事を待つ事なく、タケさんが続ける。


「大人になるって、年齢じゃないよ。大人になるって責任を持つ事だと思う。自分の発言や行動にね。」


そう笑ったタケさんは無邪気な笑顔じゃなくて少し寂しそうにみえた。


「…タケさんは大人…?」私の質問に目を丸くしたあと、ケラケラと笑い始めた。


「俺はまだまだ大人じゃないかなー?何かあったら周りの奴やらが悪い、環境が悪いって思って逃げてるからね」


だったら私もまだまだ子どもだ。
私も常に誰かの所為にしている。


早く自分の行動や発言に責任を持てる様になりたい。


そうしたら、きっと約束を果たす事が出来る。


でも私達はまだまだ子どもでこれから起こりうる現実に立ち向かう強さなんてなかったんだ-------。


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