太陽と月
その後の、会話は他愛の無い話だった。高校で流行っている事やタケさんの好きな事。
ただ、卓也さんの事を聞くと何故か上手く逸らされた気がした。


少しでも、美月に取ってプラスになればいいと思って聞いたけど、何の情報も得る事が出来なかった。この時に、もう少し聞いていればあんな事にはならなかったかも知れない-------。






「到着~!!」話しているといつの間にか遊園地に到着していた。
休日の為、すごい人がいてチケット売り場も長蛇の列だった。


購入だけで時間がかかりそう・・・そう思った時、チケットが目に入った。


「はい!これ椿ちゃんの分ね」笑顔で卓也さんにチケットを渡される。
その隣には美月が腕に絡みついている。


「あっ!ありがとうございます!御幾らですか?」
そう財布を出そうとしたら


「あ~いらないから」と卓也さんに手を振られる。


でも・・・ここの遊園地のチケットは1日フリーパスで7500円するのに・・・。
さっきの昼食もご馳走して貰っているし・・・そう思って


「でも・・・悪いので・・」と財布からお金を出すと、


「いいって!」と卓也さんに再び断られた。


どうしたらいいか戸惑っている私に美月が少しため息をついて


「椿~ここは甘えよや~。はよ中入ろ~」とめんどくさそうに言われる。


その言葉のトーンに嫌な感じが含まれている事に気付き、少しビクっとした。


「はいは~い!こんなところで押し問答しないでチャッチャと入って楽しみましょ!」とその場の雰囲気を変える様に、タケさんが明るく言ってくれる。


「ありがとうございます・・」そう言って財布を鞄に直す私を見た卓也さんが、ニコリと笑った。


チケットをバーコーデで通して貰い、園内に入るとそこは夢の国って感じがして、どの人も楽しそうな笑顔で歩いていた。


「ヨシ!どうしようか?」と卓也さんが皆に聞く。


チラッと美月がこちらを見たのが分かった。目で何かを訴えている。


「あ~!二手に分かれません?私、タケさんと行動するので!」と提案をした。


「俺はいいけど・・・卓也と美月ちゃんは?」そうタケさんが助け舟を出してくれた。
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