太陽と月
私の質問に対して、少し困った様表情をするタケさん。


「う~ん。俺の口からは何とも言えない」私から美月の気持ちを聞いといてズルいと思った。


「椿ちゃんは2人にどうなって欲しいの?」また質問をされる。


私は2人にどうなって欲しい・・?


「そりゃ・・・美月と卓也さんが付き合う事になれば嬉しいよ」そう言った時に、何故か颯介の顔が浮かんだ。


颯介は私に”本当にそう思っている?”と心の中で言う。
本当に私は自分以外の誰かの幸せを祈る心なんて持ち合わせているのだろうか?
私の心がそんなに清い訳がない・・。
それでも誰かの幸せを願いたいと強く思う。それが偽りであっても・・・・。


「そっか!そうだよね。でもさ・・・椿ちゃん。”愛は人を狂わせる”って事だけは覚えておくんだよ」と無邪気な笑顔じゃなくて悲しそうな笑顔を見せた。


“愛は人を狂わせる”この時は意味が分からなかったけど、愛に狂った人間は、人を傷つけ、自分すら傷つける事をいとも簡単に出来るなんて思ってもいなかった-------。


私は何も答えれなかった。愛というものが何か分からなかったから。分かろうとしていなかったから。私が知っている愛はいびつな形をした愛だった・・・。



「さ!卓也たちの話はおしまい!折角、遊園地に来たんだし遊ぼ!」
自分から卓也さん達の話を振っておいて・・・と思ったけど、その提案には賛成だった。


その後は、2人でゲームセンターに入ったり、さほど怖くない乗り物に乗って十分楽しめた。


気付けば辺りは薄暗くなり、待ち合わせの18時近くになっていた。


「そろそろ待ち合わせ場所行こっか!」タケさんが私に微笑みかける。


「はい!凄く楽しめました!遊園地ってこんなに楽しいなんて知らなかったです!ありがとう!」


本当に楽しいと思った。ゲームセンターも、ゴーカートも、急流すべりも全て楽しく思えた。


「それは良かった。あのさ・・椿ちゃん!卓也の事なんだけどさ・・


タケさんが何か言おうとした時に私の携帯が鳴った。ディスプレイを見てみると着信相手は美月だった。
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