太陽と月
扉の向こうから出てきた天宮さんの鉢合わせになり驚いた。
天宮さんも一瞬驚いた顔をしたけど、直ぐにいつもの冷静沈着の顔に戻ると
「椿さん、こんばんは。颯介さんならお休み中ですよ」の微笑み私の横を通り過ぎる。
何で?今日は授業無い日でしょ?
心臓がドキドキしているのが自分でも分かった。
「あの!」気付けば天宮さんを呼び止めていた。
「何でしょうか?」笑みを崩さず振り返る天宮さんは相変わらず目は笑っていなかった。
「今日は…授業無い日ですよね?」恐る恐る聞くと
「はい。でも颯介さんに呼ばれたので」と言う天宮さんの顔は勝ち誇った様な笑顔だった。
「…そうなんだ…」それしか言えない私に
「では、失礼します」と軽く会釈をして階段を降りていった。
その場に残された私は颯介の部屋の前で呆然とした。
目に入ったのは上半身裸でベットに寝ている颯介だった。
何で上の服着ていないの?
そう思ったけど、その理由は分かっている。
でも、分かりたくなかった。
「…そ…颯介?」部屋に入りベットに近づく。
寝ていると思っていた颯介は薄く目を開け、私を見る。
「あぁ椿。デートは終わった?」そう聞いてきた。
「うん…颯介…天宮さんの授業無い日だよね?」さっきと同じ質問をした。
颯介はクスリと笑うと
「授業したよ?」
「授業…?」口が上手く回らない。
「授業したよ?セックスのね」と体を起こし私に微笑みかけた。
さっきまで夜空に隠れていた月が窓から薄く反射して颯介の体を照らしていた。