太陽と月
陽介の力を借りる事なく、自分で立ちあがった。


「恥ずかしい。こけちゃった」


そう言う私の頭をポンポンと叩き


「椿は、どんくさいな」と太陽みたいな笑顔で私を見る。


「ごめん・・・」謝る私に不思議そうな顔で


「どうして謝るの?」その言葉は私の心をギュッとさせた。


「何でもないよ・・・」


また嘘をつき、嘘の笑顔で陽介を見て2人で学校へ向かった。

教室に入ると


「椿-!!」


美月が笑顔で駆け寄って来る。


「おはよ、美月」私も笑顔で応える。


「昨日はありがとう!めっちゃ幸せやわー!」


よく通る声で、自分の感情を露わにする。


その声に数人のクラスメイトが私達に寄ってきた。


「何かあったの?」


クラスメイトからの質問に、美月は嬉しそうに


「彼氏出来てん!」と話し始めた。


「え~!どんな人?」
「前言ってた人?」
「写真ないの?」


あっと言う間にクラスメイトに囲まれる。


その波にドン押されて、私は輪から外れる。


そんな事に気付かない美月は、嬉しそうに自分の事を話し始めた。


まるで私の存在なんて無い様に・・・・・。


私はそっとその場から離れて、自分の席に座り美月を見る。


私の事なんかに気付く事なく、皆と楽しそうに話をしている美月が遠くに感じた。
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