太陽と月
天宮さんが口を開く。
『陽介さん、今日の課題は数学aです。遅れた4分、巻き返して下さいね。』と笑顔で言ってたけどピリピリとした空気が漂っていた。
陽介は
『りょーかいっす!椿!頑張れよ!』
と何故かニヤニヤして天宮さんと消えていった。
何あの笑顔?と疑問に思ったけどその真相は15分後に分かった。
『むりむりむーーーーりーーー!いたいいたいーーー!』
私は少しぶかぶかの道着に身を包み、河口さんに思いっきり背中を押されていた。
『椿さん!武道の基本は柔軟性です!体が硬いまま、練習に入ると怪我の元です!』
どうやら私の体は相当硬いらしい。
でも、どうして私もこんな事をしなくてはならないんだろう?
すると頭の上から河口さんが誰かに話しかける声がした。
『颯介さん!今日は練習の日じゃないですよ。』
背中は相変わらず押されたままだったので、顔だけ上に上げるとそこには颯介が立っていた。
颯介がぽつりと答える。
『別に。体鈍ってるから。河口さん、手合わせしてよ。』
相変わらず私の方は一切見ない。