太陽と月


その後の河口さんの指導はスパルタだった。


2時間くらい、ストレッチや基礎の型を教えて貰って


『ありがとうございました』


と礼をする。


河口さんは微笑んで


『体は硬いですが、椿さんはセンスがある。明日も頑張りましょう!』


誉めてくれたけど、明日もか…と少しゲンナリする。


颯介も陽介もずっとこんな練習毎日してるの?


『颯介も陽介も強いの?』


何気なく聞いた一言に何故か河口さんは寂しそうに答える。


『そうですね。2人とも強いですよ。ただ、2人には違う強さですね』


どういう意味だろ?


そう思ってるとガラッと道場の扉が開いた。


そこには陽介が立っていた。


『椿!練習終わったか?河口さんスパルタだろ?』


とニヤニヤしながら聞いてきた。


『陽介さん。スパルタだなんて。人聞き悪いですよ。ね?椿さん』


とにこやかに笑う河口さん。


『陽介!陽介も勉強終わったの?』


申し訳ないけど、河口さんの言葉はスルーさせて貰った。


『おう!楽勝よ!』


と親指を立ててグットサインをする。


『陽介さん、明日は早朝訓練です。時間厳守ですよ』


と河口さんは陽介に伝え道場を後にした。


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