太陽と月
『りょーかいっす!明日は絶対負けない!』
と河口さんに陽介は宣戦布告をした。
陽介は私に持っていたペットボトルの水をくれた。
『椿!大丈夫か?』
と隣に座る。
貰った水をグビグビと飲む私に驚きながらも
『お疲れ』
と頭を撫でてくれた。
『疲れたー!ねー陽介こんな練習毎日してるの?』
何の為にしてるんだろ?
大会に出る為?
さっき、自分の身は自分で守るって言ってたけど。
『まぁね。ほぼ毎日。ほら、俺ら養子とは言え西園家の息子だから色々とある訳よ。』
色々って何だろう?
まさか、誰かに襲われたり!?
戦ったりするわけ!?
と1人で百面相する私を見てケラケラ笑う陽介。
『何1人で百面相してんだよ!まぁ色々は色々。椿は知らなくていい。俺はさ、強くなりたい。』
と私を真っ直ぐした目で見つめてくる。
『十分強いんじゃないの?河口さんがさっき言ってたよ?』
私の言葉に首を振る陽介。
『確かに俺は、技術はそこそこ身についてる。大会にも颯介には負けるけど、いい線までいってる。』
やっぱり、颯介も強いんだ。
『でも、俺は技術面の強さじゃなくて、内面の強さが欲しい。大切な人を守れる強さ。』
そう凜とした声で言った。