太陽と月

『では、椿さんのお好きなエビフライとハンバーグを作りましょう』とニコニコ笑うマリ子さん。





『あの!私もお手伝いしていいですか?』





私のいきなりのお願い事にマリ子さんは





『今日は椿さんのお誕生日のお祝いなので、椿さんはゆっくりしてい下さい。』





と言われた。でも陽介のさっきの言葉が頭の中で木霊した。





“楽しい事は自分から踏み込む”





『はい。でも私もお手伝いしたくて。それにマリ子さんと一緒に料理をしたら楽しそうで』





と答えると小さな声で陽介が





『鬼の様に怖いっつーの・・・』





そんな小さなボヤキはしっかりとマリ子さんの耳に届いていたようで、





『陽介さん?聞こえていますよ!では、椿さん一緒に作りましょうか』





と微笑んでくれた。





『陽介さんは出入り禁止ですからね!』と再び念を押していた。





『はいはい。俺だけ仲間外れですか~。じゃあ俺はちょっと出かけて来る』





少し拗ねた陽介を少しだけ、可哀そうに見えた。





『行ってらっしゃい。夕食は7時からですからね。颯介さんにもそうお伝えしていますので』





とマリ子さんが笑顔で答え、陽介を2人で送り出した。

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