太陽と月


『『かんせーーーい!』』


マリ子さんと2人で万歳をした。


エビフライ、ハンバーグ、グラタン、キッシュ、春巻き、スープ、唐揚げ、オムレツ、サラダなどたくさんの食べ物がテーブル一杯に並んだ。


自分の誕生日の準備をするのも中々良いものだと思った。


『さぁ椿さん、着替えてきて下さいね。』


のニコリとマリ子さんが言う。


『着替える?』


自分の服を見た。
エプロンしていたから特に汚れてないけど…?


そんな姿をみた、マリ子さんがクスクス笑う。


『今日の主役は椿さんですよ。真也さんからワンピースを預かってます。お部屋に置いてますので着替えて来て下さいね。』


と背中を押された。


『私に部屋があるの?』

施設に居た時は4人一組の部屋だった。


自分1人の時間は朝一に教会に行ってマリア様にお祈りする時だけだった。


『勿論ですよ。二階に上がって1番奥のお部屋です。』


エプロンを外し、キッチンを出たら
玄関開く音がした。


タイミング良く、玄関の扉を開けた人物と目が合った。


颯介だった。


目が合ったかと思うと直ぐに逸らされる目。


『あっあの…お帰りなさい!』


何故か声が少し裏返った。
そんな私の声は見事にスルーされる。


目が合う事なく、颯介は私の横を通り過ぎていく。


『あぁ、颯介さん。お帰りなさい。もう少ししたらお食事ですよ。7時には降りて来て下さいね。』


キッチンから出てきたマリ子さんが颯介に声をかける。


『分かった。』


ちゃんとマリ子さんには答えるんだ。


『椿さん!まだお着替えになられてないんですか?』


とマリ子さんに声をかけられ慌てて
2階に上がった。


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