太陽と月

扉を開けると同時に爆発音が響く。



『キャーー何!?』


思わず叫んでしまった。


爆発音の正体はクラッカーだった。


『お誕生日おめでとう!椿!』


目の前にはニコニコと笑う陽介、その後ろには河口さん、天宮さん、本庄さん、マリ子さん。


ダイニングテーブルにはこっちを見る事なく、頬杖をついた颯介が座っていた。



『ありがとう!』


こんなに、嬉しくて幸せな誕生日は初めてだと思った。


『椿!これプレゼント』


陽介がニコニコした笑顔を崩す事なく小さな袋をくれた。


『わーありがとう!開けていい?』


陽介は微笑みながら勿論と言ってくれた。


袋のリボンを外して中を覗く。


そこには、可愛らしいクマのぬいぐるみのキーホルダーだった。


『可愛いー!ありがとう!陽介!』


心から嬉しいと思った。
へへっと笑う陽介。


『さぁ、皆さんご飯にしましょう。』


マリ子さんが私の背中を押して、椅子に座らせてくれた。


食事は本当に美味しくて楽しかった。


色んな話をした。


皆私に優しい眼差しを向けてくれた。



颯介1人を除いて…。
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