太陽と月


何で颯介が私を一切見ないのか分からなかった。


折角、楽しい時間なのに。


私の方を一切見ない颯介だったけど、他の皆とは一言二言交わしていた。


私とマリ子さんが作った食事も口に入れていてくれた。


私は息を思いっきり吸って声を出してみた。


『そっそ颯介…さん!ハンバーグは美味しいでしょうか!?』


突然の私の大声にビックリした皆が私を見る。


『……』


何も答えず食べ続ける颯介。


『あっあの!そっ颯介さん!』


諦めず話しかけようとしたら


『颯介!椿が話かけてんだろ?』


と陽介が口を開いた。


皆が一斉に颯介を見る。


颯介は小さく舌打ちをすると箸を置いた。


『マリ子さんご馳走様』


それだけ言うと、リビングから出て行く颯介を目で追う。


落ち込む私に、陽介が


『気にすんな!あいつ無愛想だけどさ、いい奴だから。きっと照れてんだよ!』


と慰めてくれた。


颯介は出て行ってしまったけど、その後も楽しい時間を過ごす事が出来た。













『さぁ、そろそろ陽介さんと椿さんはお休みになって下さい』


楽しい時間はあっという間だった。


今日は本当に色んな事があったなぁ。と思い部屋に戻った。


部屋でボーと今日の出来事を思い出しているとノックの音がした。


ドアを開けるとスエットに着替えた陽介が立っていた。

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