太陽と月
嘘つき・・・。
そう思ったけど、私は「友達」を演じる事を決意した。
変らず、教会の床掃除もしたし、率先して下の子の面倒も見た。
「いい子」でいたらママは迎えに来てくれると信じて。
時折、3人が私の悪口を言っている場面に遭遇したけど、気付かないフリをした。
聴こえないフリをしたけど、心の中にはドロドロした感情がどんどん大きくなっていった。
そんなある日、由貴ちゃんが頬を赤くして、私たちの所にやってきた。
『由貴ちゃんどうしたの?』佑子ちゃんが聞くと
『あのね!私ね!里親が決まったの!何度か会った事あるんだけど、すごく優しくてお金持ちの家に貰われる事になったの!』と嬉しそうに話してきた。
由貴ちゃんの本当の両親は、交通事故で亡くなり施設に預けられた。
何度か里親のもとにお試しと言う事でお泊りに行っている事は知っていた。
『来週にどうするか決まるの!でも絶対に決定だよ!』とニコニコ笑っていた。
心なしか、その笑顔を勝ち誇った様な笑顔で気持ち悪いと思った。
佑子ちゃんと麻奈美ちゃんは『良かったね!』と手を取り合い喜んでいた。
許さない。絶対に。あんただけ幸せになるなんて認めない!!!
あの時私は確かにそう思っていた・・・・。
その日の夜、私は皆が寝たのを確かめてから教会に行った。
そこでお祈りをした・・・。
“願わくば・・・・由貴ちゃんの里親の話が無くなりますように・・・”