太陽と月

      “私は間違ってない”


それからの事は覚えていない。


でも、有希ちゃんは結局、南山さんのところには行かなかった。


それから有希ちゃんが私に話しかけてくる事は無かった。


むしろ私に会うと、慌てて目を逸らし避けてきた。


有希ちゃんの目は、憎悪ではなく恐怖で溢れていた。


“私は間違ってない-----”


その後も変わらず私はいつもの生活を続けた。


教会の掃除も下の子の面倒もしっかりとみた。


マリア様へのお祈りも毎日欠かさずした。


私はどんなお祈りしたっけ?


誰かの幸せ?


ママが迎えに来ますように?


誰かの不幸……



そんな事…


私は願っていたの?












どれくらいの時間が経ったのだろうか?


気付けば、目の前に立っていた颯介は隣に座っていた。


ハッと気付くと


『回想終わった?』


そう目を細めて私の目を離さない颯介。
< 51 / 230 >

この作品をシェア

pagetop