太陽と月
“私は間違ってない”
それからの事は覚えていない。
でも、有希ちゃんは結局、南山さんのところには行かなかった。
それから有希ちゃんが私に話しかけてくる事は無かった。
むしろ私に会うと、慌てて目を逸らし避けてきた。
有希ちゃんの目は、憎悪ではなく恐怖で溢れていた。
“私は間違ってない-----”
その後も変わらず私はいつもの生活を続けた。
教会の掃除も下の子の面倒もしっかりとみた。
マリア様へのお祈りも毎日欠かさずした。
私はどんなお祈りしたっけ?
誰かの幸せ?
ママが迎えに来ますように?
誰かの不幸……
そんな事…
私は願っていたの?
どれくらいの時間が経ったのだろうか?
気付けば、目の前に立っていた颯介は隣に座っていた。
ハッと気付くと
『回想終わった?』
そう目を細めて私の目を離さない颯介。