太陽と月
颯介は微笑みながら胸ポケットから煙草を取り出し、火を付けフゥーと煙を吐く。
『ちょっ…!未成年でしょ?』
驚いて煙草を取り上げようとすると
『椿も吸ってみる?』
そう言って咥えていた煙草を私の口元に持ってくる。
ゲホゲホゲホゲホッ
むせ込んでしまう私を見て、クスクス笑う颯介。
『直ぐに慣れるよ。そして抜け出せなくなる』
そう言って美味しそうに煙草を吸い続けた。
私は黙って颯介の隣にいた。
颯介は1本の煙草を吸い終わると、携帯灰皿に煙草をギュッと押し込む。
月の光がおぼろげに光っている。
『そっ颯介は…』
何か話さないとと思い、声を出すも続かない。
『…椿はさ、母親に会いたい?』
昼間の陽介と同じ事を聞いてくる。
同じ事を聞かれているのに、何故か全く違う事を聞かれている感覚に陥った。
『…あっ会いたい!あのね…大人になったら陽介とママを探すの!』
そう言うとふっと笑う颯介。
『椿?僕の前ではいい子でいる必要ない。僕の前では…誰よりも貪欲で醜い、椿でいていいんだよ?』
どうして、こんなにも酷い事を言われているのに、目が離せないんだろう。
『…でもっ私はママに会いたい!』
過去もママも捨てた筈だけど…会いたい。