太陽と月
「会いたいんだ?」
颯介が聞く。
「あ…会いたい…。」
大好きなママに。
「自分を捨てた母親に?最後の最後まで会いに来なかった母親に?」
そうふっと笑う颯介は少しだけ、昼間の真也さんに似ていると思った。
「僕は…、許さないよ。世界で1番憎くて…殺してやりたい。」
そう目を閉じる颯介。
「…殺したい…?だ…誰を?」
酷く恐ろしい事を言ってるのに、何故だか寂しそうに見える颯介。
「…世界で1番憎い人。いつかこの手で…」
そう言うと目を開き月に手を伸ばした。
颯介の憎くて殺したい人は誰なんだろう?
この時はただボンヤリとそう思った。
貴方の本当の苦しさに気付いてあげれなくて、ごめんね。