太陽と月
「はぁ?一緒に住んでる事内緒にする!?」
リビングルームに陽介の大きな声が響く。
「うっうん。いやだってさ…」
陽介と颯介は誰がどう見ても男前の部類に分類される。間違いなくモテると思う。
例え、兄妹であってもあくまで戸籍上だけであり、血は繋がっていない。
だから変な想像されたり、女子特有のやっかみを受ける事は避けたかった。
新しい生活ては、心ない言葉や憎悪等の感情を受けたくない。
時に人は愛するあまり憎悪の感情に移る。
私はそれを受け止める自信はなかった。
それを目の当たりにした時、前を向いて進んでいくのか、奈落の底に陥ってしまうのか。
だから余計な事は考えたくない。
「だって何!?別に良くない!?俺ら兄妹じゃん!」と口を尖らせて拗ねる陽介。
「いやぁ…ほら!だって!流石に…兄妹ってか従兄弟って事にしたいの!」
そう提案をすると
「俺ら従兄弟じゃなくて、兄妹じゃんよー!」と更に拗ねる陽介。
そんな様子を黙って見ていた、真也さんが口を開く。
「陽介、椿の言う通りにしてあげろ。女の子には色々あるんだよ。きっと。」まるで全てをお見通しのように言ってくる。
「父さん!久しぶりに帰って来てくれたと思ったら椿の味方?!」
まるで子どもみたいな事を言う陽介に対して
「俺は誰の味方でもないよ。俺は自分の直感で動き発言してる。今回は椿の言うことが1番良いと思う直感だ。」
と涼しい顔付きで言われ、どうにか納得してくれた。
筈だったに…。
だから、どうしてそんな笑顔で迎えに来たのか問いただしたいと思った。