太陽と月

私は封筒を握りしめて走った。

走って端の堤防についた。

そして封筒を開ける。

そこには一万円が10枚入っていた。

私の僅かな希望はあっさりと砕け散った。

いつの間にか横にいた男が煙草を加えて可笑しそうに言う。

『何だ?ママからの手紙でも入ってると思っていたのか?』

図星だ。

もしかしたら、もしかしたら、ママからの手紙が入ってると思っていた。

男は煙を吐きながら言う。

『いい加減、夢物語を見るのは辞めろ。』

夢物語。

そう。ママが私を迎えに来てくれて

抱き締めてくれるなんて

夢物語なんだ。

そう実感した私は封筒の中の10万円を取り出し

橋の上から川に向けて、投げつけた。

お札は風に乗って

川に落ちていく。

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