太陽と月
私は部屋に戻り、天宮さんに今日の勉強を教えて貰った。
天宮さんの指導方法は無駄がなく分かりやすい。
みっちり1時間の勉強が終わり、天宮さんに話かける。
「陽介も颯介も主席クラスだったの?」
「一昨年の主席は颯介さんの筈でした。でも辞退して、2番だった陽介さんが主席として挨拶をされましたよ」と笑顔で答えてくれるけど、相変わらず目は笑って居ない様にみえた。
「そうなんだ。颯介は何で辞退したの?」
「…颯介さんは…認めて欲しいのは1人だけですから。」
そう言われ、何で?と聞こうとすると
「では、今日はこれで。もう少ししたらお食事ですよ」
これ以上、無駄話はしないと言われた気がして、大人しく引き下がった。
颯介が認めて欲しいのは1人だけ。
誰だろう?
貴方はたった1人に認めて貰える様に、茨の道を歩いていたんだね。
その時は颯介の苦しみに全く気付いてなかったんだ…。
「今日もマリ子さんの飯最高!」
そう笑顔でグッとサインをする陽介。
「ありがとうございます。今日は椿さんの入学のお祝いも兼ねて、頑張りました」そう微笑むマリ子さん。
夕食の席に颯介はやっぱりおらず、陽介と2人で食事をした。
他愛ない会話をしながらする食事は楽しかった。
食事を終え部屋に戻ると机に置いてた携帯がピカピカと光っていた。
真也さんが買ってくれた携帯。
携帯を開くと、お昼にアドレス交換をした美月からメールがきていた。
初メール!明日、学校終わったら遊びに行かへん?服欲しいねん。
メールの中には沢山の絵文字で埋まっていた。
私は微笑み、了解だけ打ち携帯を閉じ今日、配布された課題のプリントに取りかかった。
今日渡された課題をやり終えると
時計は21時をさしていて、外は真っ暗だった。
窓の外を見ると今日もおぼろげな月が出ていた。