太陽と月

ヒラヒラと福沢諭吉が宙を舞い、川に落ちていく。



要らない。こんなお金要らない。



そう思いグッと唇を噛むと、横から盛大な笑い声がした。



すると男が目を細め、声を出して笑っていた。



笑われる筋合いは無いと思い、キッと男を睨みつける。



男はそんな私に、今までの無い優しい目で私の頭を撫でる。



『椿、お前は強い。強く、誇り高くなれる。約束しろ。誇り高く、誰よりも美しく強くなれ。』



“誇り高く、誰よりも美しく、強くなれ”



頭の中で男の言葉が何度も響く。





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