太陽と月
「う~ん、知ってるっちゃ知ってる」そう濁す様に言う純平。
「そうなんだ~。卓也さんほんま素敵で、すっごくいい人なんです!」嬉しそうに話す美月。
「ねぇ、美月ちゃんにとっていい人の定義って何?」おもむろに聞く颯介。私は少しびっくりした。颯介は他人には全く興味がないと思っていた。
「定義ですか~?定義ってか卓也さんはカフェのお客さんで来るおばあちゃんとかにすっごく優しくて!あとこれは少し複雑だけど、女の子にも優しくしてるんです!」とあの時はこうだった、あの時はこんな風に接していた等、色々な情報を教えてくれる。
「・・・・ねぇ・」小さな声で颯介が何かを言った。
美月には聞こえなかったみたいで聞き返す。
「颯介さんよく聞こえないです」そう言う美月に、颯介は
「何でもないよ。上手くいくといいね。じゃあ僕は行くね」そう言って席を立った。
「颯介!俺まだ食べてるんだけど!」と慌ててサンドイッチを口に頬張る純平。
口をモグモグさせながら
「じゃあ美月ちゃんも椿ちゃんもデート楽しんで来てね!また一緒にご飯しようね!」そう手を振り颯介の後を追いかけて行った。
「ちょ~!!!椿!」2人が完全に見えなくなるのを確認したのか美月が私の手を掴む。
「な・・何!?」
「椿のダブル従兄妹何なん!?めっちゃイケメンやん!陽介先輩もめっちゃイケメンやったし」そう目をキラキラさせる。
「そっ・・・そうかな?」と否定も肯定もしなかった。
「ま~でも陽介先輩はめっちゃ話やすいけど・・・颯介先輩は・・・」と口を濁す美月。
「颯介は?」私が聞くと
「う~ん。何か怖かったわ~。何が?って聞かれても分からへんけどさ」と言う美月。私は美月が思う颯介の像を聞きたかったけど、美月はそれ程気にしていないのか
既に遊園地デートの話に切り変っていた。
私はさっき颯介が美月に対して、呟いた1言が頭から離れなかった。
“馬鹿だねぇ”そう呟いていた。