太陽と月
馬鹿だなんて、何でそんな事言ったんだろ…。
私は恋をしてる美月は、とても可愛くて愛おしい、そう思うのに。
「やば!」と美月が小さく声をあげる。
「どうしたの?」そう聞くと、嬉しそうな笑顔で
「卓也さんからメールきた!」そう教えてくれ、携帯をピコピコと返信を打つ。
「椿、ごめん!ちょっと私、午後からの授業サボる!」それだけ言うと、パタパタと駆けて行った。
きっと卓也さんの所に行ったんだな。大好きな人の所に行ったんだ…。
何だか私も、午後からの授業に出る気にならず屋上に向かった。
屋上に行くと夏の風が心地よく感じた。
屋上には小さな倉庫とベンチがあった。
ベンチに座り、ポケットから携帯を取り出す。
でも、私には連絡をくれる人なんていない。
携帯を閉じて、目を瞑る。
“僕が奈落の底まで一緒に落ちてあげる”
“俺がお前を奈落の底から連れ出してやる”
2人の声が頭の中を駆け巡る。
言ってる事、まるで世界が違っていたけど、私を見る2人の目に嘘は一つもなかった。
2人の顔が思い浮かぶ…
その時、
「…ちょっ…や…」
頭の上から女の人の声がした。
何を言ってるかは聞き取れなかったけど、何かを嫌がってる様な声だった。
声の方向を見ると、倉庫の上からだった。
ベンチから立ち上がらり、倉庫に近づくと
バッチーーンという音がした。
何事!?そう思っていると、倉庫に架かっていたハシゴから女の人が降りて来た。
ハシゴから降りてきた女性と目が合う。顔を真っ赤にしていて、目には少し涙を浮かべていた。
上靴の色からして3年生だと認識する。
まさか、私がいると思っていなかったみたいで、私と目が合うとビックリしていた。
すると、キッと私を睨み
「見てんじゃねーよ!」そう言葉を投げ捨て、屋上から出ていった。
何だったんだろう。
そう思っていると、頭の上に陰が出来た。