太陽と月

天宮さんにお礼を言い、今日の授業は終わった。


夕食まで時間があるので本を読もうとリビングに行く。


リビングの扉を開けると


「真也さん!」そこにはソファーで難しそうな本を読んでいる真也さんがいた。


私の声に顔をあげると、少し微笑み


「久しぶりだね。新しい生活には慣れたか?」


「うん!友達も出来て楽しくしてる!」そう美月の話をした。


真也さんはそんな私の話をニコニコと聞いてくれる。
初めて会った時の冷たい雰囲気は感じられなかった。


「それは良かったよ。椿、友達は財産だ。大切にしなさい。ただし、本当の友達かどうかはしっかりと見極めなさい」


「本当の友達…?」
本当の友達って何だろう。そう考えていると


「椿、本当の友達ってのはね、ありのままの自分を見せる事が出来るかどうかだよ。そして、そんな自分をきちんと受け止めてくれるのが本当の友達だよ。いけない事をした時はちゃんと怒ってくれ、悲しい時は一緒に泣いてくれ、嬉しい時は一緒に喜んでくれる…。その子はそんな子かい?」


そう聞かれて直ぐに返事は出来なかった。
だって私は…


黙ってしまう私に


「始まったばかりだろ?これから少しずつ築きあげていけばいいんだよ」と優しく微笑んでくれた。
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