大人の女に手を出さないで下さい

恋は希なり

ー　逢いたい。閉店頃店に迎えに行く

久しぶりの蒼士からのメールが来たのは翌日のことだった。
いつもはお伺いを立てるように聞いてくるのに今日は随分一方的だ。
なんだか嫌な予感がして梨香子はいつものようにトミちゃんを誘うとすごい剣幕で拒否られた。

「とんでもない！無理無理無理！いくらあたしでも…！あっあたし今日デートだから！あ、エリちゃんも行けないわよ！一人で行きなさい！」

「え？なんで英梨紗のことまで？」

「とっとにかく！久しぶりなんだから蒼士くんと二人でデートしなさい！積もる話もあるでしょ」

あ～忙しい忙しい！とトミちゃんは何かを誤魔化し行ってしまう。
腑に落ちずに首を傾げてると、気づいたら他のスタッフ達がコソコソとこちらを見ながら話ている。
いつもより好意的な視線に逆に居心地悪くてその後の仕事もなかなか手に付かない。

「ねえハルちゃん、みんなやけにこっち見てくるんだけどなんでだろう？」

「さあ？いつものことじゃないですか」

ハルちゃんまでもじっと見てきて聞いてみたけど素っ気なく言ってそそくさと離れていく。
一体何なんだ。
ますます嫌な予感がする。

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