大人の女に手を出さないで下さい
梨香子が二人の事で悩まないように蒼士はまず年上であっても自分の好きな人を友人として受け入れて欲しいと自分の友人達に話をした。
そして梨香子が日常のほとんどを占める店と関わりのあるプティビルのスタッフ達に話をした。
みんな好意的に受け止めてくれたと嬉しそうに話す蒼士に梨香子は驚き唖然としてしまう。
「梨香子さんの友人達にも会わせて貰えれば俺が二人の仲を認めてもらえるよう説得する」
「なんで…そこまで…?」
「俺が梨香子さんと一緒に居たいから。自分の為にしてるようなものだよ。だから、そんな顔しないで…」
気付けば梨香子は泣きそうな顔で蒼士を見つめている。
蒼士は困った顔で徐に立ち上がった。
梨香子のそばに寄るとその手を取り立ち上がらせソファーへと誘う。
二人並んで座ると蒼士は梨香子の手を握りながら涙の溜まる瞳を見つめた。
「俺はこの先もずっと梨香子さんと一緒に居たいんだ。優しくて頑張り屋で店と英梨紗ちゃんのことが大好きでどんなときも冷静で男勝りで、でも本当は弱い部分もあるって知ってる」
「蒼士くん…」
「そんな梨香子さんの支えになりたいと思ってる。だから…」
ホロリと零れた梨香子の涙を蒼士は手で拭って覗き込んだ。