大人の女に手を出さないで下さい
返事をしようとしたら蒼士は顔を上げ梨香子を止めた。

「先に言っておくけど、イエス以外の答えは認めないから。他に好きな人がいるも無し。梨香子さんの口から他の男の名前が出て来るとか耐えられないから」

何を言うのかと梨香子は目を丸くしちょっと拗ねた顔をする蒼士に思わずぷっと笑っていた。

「蒼士くん、今日私ね、蒼士くんに告白しようと思ってたの」

「え?」

「色々不安は尽きないけどそれでもどんなことになろうと全部受け止めようと心に決めてきた。そしたら蒼士くんがひとつひとつ不安を消し去ってくれて。もう、素直に飛び込むしかないよね」

「じゃあ…」

期待を込めた瞳を覗き込むように梨香子も蒼士を見つめた。

「ありがとう、私を好きになってくれて。私も、蒼士くんの事が好きです。愛しています。私と結婚して下さい」

「梨香子さん…。やった!」

「わっ!」

「梨香子さんありがとう!絶対に幸せにする!」

蒼士は嬉しさを爆発させるように梨香子を勢い良く抱きしめた。
無邪気に笑う蒼士につられて梨香子も笑う。
真っ直ぐに愛情を示してくれる蒼士にせき止めていた愛情が溢れてくる
ひとしきり笑って一息ついた蒼士が梨香子の頬に触れる。

「珍しいね、何事にも動じない梨香子さんの顔、真っ赤だ」

「そ、そう?ワインで酔ったかな?」

「そこは幸せ過ぎて、だろ?」

見つめてくる蒼士の目の色が変わったことに気づいた梨香子は自然と瞳を閉じた。
ゆっくりと優しく、唇に暖かさが交わると直ぐ離され何度も啄むようにキスが降りてくる。
それだけでは満足出来ない梨香子の方が軽く口を開けると待ってたようにぬるりと舌が入ってきた。
口内を弄り舌を絡め吸われて艶めかしい水音が耳に入ってくる。
息が上がるほど唇を堪能して離れていく蒼士の瞳をぼんやりと見つめた。

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