大人の女に手を出さないで下さい

「ちょっとやめてよそういうの恥ずかしいし心臓に悪い」

「どうして?プロポーズするって言ったらみんなそこまで真剣ならって応援するとまで言ってくれたよ?」

「……そうね、そうよね。私にまで頑張れとか言ってくるんだから応援してくれてたのよね」

何が悪いのだと言うように不思議そうな顔をする蒼士に梨香子は無理やり納得することにした。
この場合プロポーズする蒼士が頑張るのであって受ける立場の梨香子が頑張るところはないのだがまあいいだろう。
確かに頷くまでに色々苦悩があったのだから頑張らないと決断出来なかったのかもしれない。
梨香子はみんなにお礼を言わないといけないわねと笑った。

「まずは心配してる英梨紗ちゃんに報告しよう」

「そうね」

その後、羽鳥夫妻にお礼を言ってまた必ず来ると約束をして帰路についた。
蒼士の首をガッシリホールドして笑っていたオーナーの知宏にニコニコとまたお二人で来てくださいねと梨香子の手を握ってくれた奥様の君枝。何も言わなくても二人の間に何か良いことがあったんだと気付いていたようだ。
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