大人の女に手を出さないで下さい
梨香子の左手を見たトミちゃんがもしや!?とそこに光るダイヤに目を輝かせた。
薬指で光るそれは実はプロポーズが成功した時の事しか考えてない蒼士が英梨紗に預けていた物だった。
あの後いそいそと黒いリングケースを持ってきた英梨紗が証人となり、彼女の前で蒼士が梨香子に贈った婚約指輪。
まるで梨香子と蒼士と英梨紗のように中央のダイヤに寄り添うように2つのダイヤが並んでいた。

早く言えとでも言うようにトミちゃんに目配せされる。
みんなに応援されたしトミちゃんは近くでやきもきさせていたからここはちゃんと報告せねば。
コホンとひとつ咳払いをして姿勢を正すと梨香子はみんなに聞こえるように話した。

「皆さん蒼士くんの呼びかけに集まり話を聞いてくれたと聞きました。私達を認め応援してくださったことに感謝します。昨日蒼士くんからプロポーズされまして…お受けすることになりました。年の離れた私達ですが温かく見守ってくれると有り難いです」

一礼するとワッと歓声が上がり拍手と共におめでとう!という言葉も聞こえて来る。
トミちゃんに泣きながら抱き付かれ苦笑いを零しながら、みんなに祝福される事がこんなに嬉しいだなんて、改めてみんなを説得してくれた蒼士に感謝した。
ハルちゃんには良かったですねと満面の笑みで言われてまた泣きそうになった。

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