大人の女に手を出さないで下さい
お祝いムードも開店時間になると治まって梨香子もホッとする。
よし!と軽く両頬を叩いて気持ちも新たに気合いを入れていつも以上にお客様に笑顔を振りまきせっせと働いた。
最近気持ちがどんよりしてたからかやけに今日は晴れ晴れして仕事も捗る捗る。

そして昼休憩、プロポーズがどうだったか詳しく聞きたいトミちゃんにガッチリ確保されカフェに向かうとツクヨミさんとも合流し、トミちゃんの質問攻めに合うことになる。

梨香子の不安を取り除いてくれた事や一途に想いを伝えてくれた事を話すとトミちゃんは両手を組んで夢見るように想いをはせる。
みんなを集めて話をしてくれた事、トミちゃんも英梨紗も話に加わっていた事もお礼がてら言うとそんなの当たり前じゃないと抱きつかれた。
ほんとに優しくて頼もしい親友だ。

「ツクヨミさんも色々アドバイスありがとう。私の選択、間違ってないよね?」

「ふふっもちろんだ。初めから梨香子の決断は決まっていたのだから」

「え?散々間違った選択したら不幸になるって言ったくせに決まってたってどうゆうこと?」

「その方が盛り上がるだろう?面白いからに決まっている」


「ええ〜!?」

驚いた。やっぱりツクヨミさんは全部お見通しの上で梨香子に選択肢を突きつけ悩ませたらしい。
酷いじゃない!と詰ってもツクヨミさんはどこ吹く風。
モテ女が味わえてよかっただろうなんて言っている。
あっはっはっと大笑いしているトミちゃんが目尻に溜まった涙を拭きながら聞いた。

「でも、選択肢4つもいる?」

「あれは梨香子に近付く男がいたから、モテ女というのはあながち間違いじゃないだろう?」

その言葉に思い当たるものがあるから梨香子はゆっくりと目を逸らした。

「誰よその近付く男って」

「そうだな、まずあの男…」

とツクヨミさんがなぜか梨香子の後ろを指差した。

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