大人の女に手を出さないで下さい
奥さんとのツーショットや2歳くらいの子供達と一緒にお風呂に入っていたり微笑ましい写真の間に雑貨の写真も混じっていた。
梨香子に結婚してるのは故意に隠してたからとても気まずい。

「あ~いや〜お恥ずかしい…」

バタバタと片付け始めた元倉はそれではと、そそくさと帰ろうとして蒼士に呼び止められた。
梨香子は店で大量ラッピングにてんてこ舞いになってるハルちゃんを見つけその場で別れた。
蒼士はそこまで送りますよと元倉を出入り口に誘導する。

「地方に来て羽目を外したかったんだろうが悪いことはできないな」

「あなた…わざとですか?酷いな」

「それを言われる筋合いは無いよ。俺は愛する人にまとわりつく悪い虫を払いたいだけだ」

自分の悪巧みを見透かされて元倉は不機嫌な顔を隠そうともせずそっぽを向いた。

「ただ、雑貨が好きなのは本当らしいな。それは見てたらわかるよ」

インスタには雑貨の持ち味や使い方アンティークの見分け方など熱く語っているのが多かった。

「それだけは認めるよ。これからも商談相手として婚約者をよろしく」

手を差し出すと元倉はためらいながらも握り返した。
元倉は雑貨好きを認めてもらえたのは素直に嬉しいと思う。
不貞腐れながらもしっかりと蒼士と握手した。

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