大人の女に手を出さないで下さい
その日、英梨紗も加わり3人で食事をしたときにツアーの話をしたら意外な答えが帰ってきた。

「えー、ヨーロッパは行きたいけど〜あたし行かなーい」

「え?なんで?行こうよ英梨紗」

「二人で行ってきなよ〜。あたしのことは気にしなくていいからさ」

気を使われてるのか英梨紗がしきりに二人で行ってきなよと言うもんだから梨香子は困った。

「でも、英梨紗一人置いてけないし」

「いいじゃん、あたしその間パパの家に泊まるよ。それならママも安心でしょ?」

ここに来て英隆が出てきて梨香子も蒼士も渋い顔をする。
こんなに嫌がるのは自分がいるからなのかと蒼士は思った。

「俺がいると邪魔かな?」

本当は母娘二人でで行きたいのかと蒼士が切り出すと英梨紗は首が吹っ飛びそうなくらい首を振った。

「違う違う!絶対違うから!勘違いしないでよね蒼士くん!」

「え?じゃあなんで?」

「ほら!あたし学校あるし!それにあたしがいるとママと蒼士くん二人切りになれないでしょ?」

「そんな気使わなくていいよ」

「違うの!もう!あたしが二人切りにしてあげたいの!あたしの気持ちもわかってよね!」

やっぱり英梨紗は気を使ってくれてるらしい。
素直に受け取ってもいいものか蒼士と梨香子は困った顔で目を合わせた。

「それにこれからデートに毎回あたしを誘わなくてもいいからね」

「え?だめ?迷惑だった?」

それも嫌だったのかと蒼士は肩を落とす。

「それも、ち、が、う!蒼士くんがっかりしないでよ!たまになら付き合ってあげるからさ」

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