大人の女に手を出さないで下さい

交わりは生なり

そしてあくる日、電話で洗いざらい梨香子の悩みをトミちゃんから聞いた蒼士は片手で顔を覆い言葉も出ない。
まさか梨香子がそんなことで悩んでいたとは思いもよらずなんだか顔が熱い。

『まさか、そんなことぐらいでリカちゃんの事嫌いにならないわよね？』

「ならないならない！例え梨香子さんがブクブクに太ったって愛は変わらないよ！」

とんでもないと赤い顔を左右に振って否定した。
どんな梨香子だって愛していける。蒼士の愛は本物だ。

『それを聞いて安心したわ、あとは蒼士くんがぐいぐい攻めるのよ！』

満足したようなトミちゃんに発破を掛けられ電話を切った蒼士ははあ～と溜めてた息を全部吐いたのだった。


今日は梨香子の家にお呼ばれしてる。
もうすぐ英梨紗も帰り３人で梨香子の手料理を食べる予定。
梨香子が料理をしてる間、蒼士はソファーに座りコーヒーを飲んで梨香子を見つめていた。
エプロン姿の梨香子は新鮮で母親の顔をする彼女は慈愛に満ちてとても魅力的だ。

「英梨紗もう少しで帰ってくると思うんだけど、遅いわね。ごめんね蒼士くん」

梨香子が粗方料理は終わったのかエプロンを外しやってきた。

「帰ってくるまでちょっと話をしないか？」

隣をポンと叩くと梨香子はそうねと素直にそこに座る。
トミちゃんの話を聞いたせいかなんだか今日はとてもぎこちない。

「あ～、梨香子さん…」

「なに？…」

「…」

言葉も発せず見つめ合ったまま固まる二人。

< 177 / 278 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop