大人の女に手を出さないで下さい
「じゃあ、いわゆる思春期ってやつじゃないの?親離れのサインだと思うけど」

「え?親離れ!?」

ショックな顔をする梨香子に蒼士は苦笑い。

「梨香子さんも子離れして、もう少し俺を構ってくれると嬉しいんだけど…」

梨香子が英梨紗の事が大好きで大事に思ってるのは重々わかっているし否定をするつもりもないが、ちょっと拗ねてみると梨香子は困った顔をする。
蒼士は立ち上がり梨香子を後ろから抱きしめると首元に唇を寄せてふふっと笑う。

「嘘だよ、英梨紗ちゃんを想う梨香子さんは聖母マリアのように魅力的だ」

「ヤダ…何言ってるの恥ずかしい…」

「恥ずかしがる梨香子さんも可愛い…」

恥じらう梨香子に蒼士は堪らず耳元にキスをする。
やめてよと言いながら頬を染め身をよじる梨香子が可愛くて仕方ない。
いちゃいちゃとまた甘い雰囲気が漂ってきたころ、しくしくと泣き声が聞こえてきた。
目を合わせた梨香子と蒼士は血相を変えて英梨紗の部屋の前で戸に耳をそばだてた。

「う…うう…」

すすり泣く声は間違いなく英梨紗のもの。
やはり悩み事があり英梨紗は苦しんでいるのだ。
梨香子は迷うことなく戸を開けた。

「英梨紗!入るわよ」

「!…や、やだ、入ってこないでよ!」

椅子に座り泣いてるのを誤魔化そうと顔を擦りそっぽを向く英梨紗の横に行くと梨香子は英梨紗を抱きしめた。

「誤魔化してもダメ。何を悩んでるの?ママに言えないこと?英梨紗が泣いてるとママ胸がつぶれそうだわ…」

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