大人の女に手を出さないで下さい
「あなた…!」
豊子と違って慎太郎は寛大のようだ。
家柄や親の事にこだわってるらしい豊子より話が分かる。
「豊子、いいじゃないか。琢真が惚れた子だ。二人を信じてやれ」
「でも…」
「俺は本気だよ、英梨紗がいいんだ。家柄のいいお嬢さんなんて冗談じゃない」
「たっくん…」
見つめ合う琢真と英梨紗を豊子以外の3人の大人たちが優しく見守る。
多数決に負けたように諦めた豊子がため息を着いた。
「わかりました…お付き合いは認めましょう。将来なんてどうなるかまだ分からないし…」
それにムッとしたのは琢真だけではない。
そんな空気も気にならないのか空気の読めない豊子は梨香子に聞いた。
「国永さん、前のご主人はご健在で?ご職業は?」
「え?ええ、健在です。弁護士をしてますけど…」
「あ…あら、弁護士さんですか。お母様は?お仕事してらっしゃるの?」
元夫が弁護士と聞いて突然好反応してきた豊子に訝しげな梨香子は戸惑いながら返事をした。
「プティビルで雑貨屋を経営してます」
「プティビルで?あそこの雑貨屋さんと言えば、エリッサかしら?」
「ええ、そうです…」