大人の女に手を出さないで下さい
「まあ!エリッサ!私あそこのお店大好きなんですのよ!センスのいい雑貨が取り揃えてあって最近はアンティークも扱ってて行くたびにワクワクしますわ!!」

いきなり前のめりで喰いついて来た豊子に梨香子は顔が引きつり身を引いた。蒼士も思わず梨香子の肩を抱き庇おうとしたほどの勢いだ。
そう言えばよくいる店員さんに似てると思ってましたの!なんて梨香子の手を取りながら感激してるよう。

「エリッサを経営してるのが英梨紗さんのお母様。だからお店の名前がエリッサなのですね!お嬢様の名前からなんて初めて知りましたわ!」

「はあ…」

いきなりのテンションの高さに梨香子も他のみんなもついて行けない。
唖然とした顔で豊子を見つめる。

「お父様は弁護士、お母様はエリッサの経営、いずれお母様が蒼士さんと結婚すれば三雲家とのつながりもある。意外に琢真と釣り合うかもしれませんね。将来相良家の嫁として視野に入れてもいいかもしれません」

その言い方!
ムッとした梨香子は英梨紗の肩を抱き一人悦に入る豊子を見据えた。

「あの!親の職業や家柄って重要ですか?嫁として見てくれるならこの子自身をよく見てください!」

「は?」

「英梨紗は親の私から見てもとってもいい子なんです!小さなころからお手伝いが大好きで仕事で忙しい私に代わって掃除洗濯料理と家事全般全部してくれます!料理は凄く美味しいんですよ!何より親思いの優しい子で、見てください!この笑顔!器量よしで愛想よし!こんな完璧な子他に居ませんよ!将来は美容師になるって夢も持ってる前向きな子です!こんな子が琢真くんのお嫁さんになったら支え合って幸せになるに決まってます!嫁として相応しいと思いませんか!?」

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