大人の女に手を出さないで下さい
今日はもうお泊りどころじゃなくなって英梨紗も梨香子も家に帰ってきた。
蒼士もすんなり二人を送り帰って行った。

「ああなんだか疲れたわね」

「ごめんねママ…」

「英梨紗が悪いんじゃないのよ、たっくんのお母さん稀に見るセレブ母だったわね」

ははっと苦笑いを溢し英梨紗を抱きしめる。
あれから自分の息子や家の自慢話に始まり、店のことや蒼士との馴れ初めや元夫の事など根掘り葉掘り聞かれて参った。英隆の話になった時には蒼士が機嫌悪くなるし、空気の読めないあのお母さんにほとんどの体力を奪われた気がする。
大事な息子を取られた嫉妬心からか英梨紗の事はまだ認め切れてない節があるのが気になった。

「今度からお母さんのいない時間にたっくんの家にお邪魔するのはやめた方がいいわよ?変な勘繰りされるし心配されるから」

「ねえママ、あたしたっくんの家でえっちなことしてたわけじゃないよ?」

「ん?」

琢磨と英梨紗はもう深い仲だしやっちゃダメと言ってるわけでもないから想像しないわけでもないけど、英梨紗は違うと首を振る。

「たっくんのね、小さい頃のアルバム見せてもらってたの。たっくん小さい頃から可愛かったんだよ!写真見てメロメロになっちゃった。あたしの知らないたっくんが知りたくてしかたないの。知ると増々好きになっちゃう。なんでかな?」

「そう。好きな人の全てが知りたいっていのはう恋の成せる技よね」

純粋に恋してる英梨紗が微笑ましい。
恋する娘が可愛すぎて抱きしめ頬にチュッとキスをした。
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