大人の女に手を出さないで下さい
梨香子はご婦人とその隣にいる同じ年代らしき男性を蒼士に紹介した。
「こちら同じツアーに参加する深田ご夫妻なの。ご夫婦でアンティークショップを経営してるそうよ。さっきご挨拶して蒼士くんの事を話してたのよ」
「へえ、そう。三雲と言います。ツアーでは仲良くして下さい」
「勿論です。お互い今度お店にも顔を出すと約束したんですよ、ぜひ三雲さんも一緒に来てください」
「もちろん喜んで行きますよ」
楽しそうに笑う深田夫人ににこやかに会釈したご主人は寡黙な人のようだ。
二人の優しげな雰囲気に梨香子も既に心を許してるようで楽しみですねと話に花を咲かしている。
せっかくの梨香子との旅行だ、独占したいのは山々だがツアーなのだから仕方がない。
楽しそうな梨香子を横目に今日の為に仕事をこなしてきた蒼士は深いため息を零した。
かなり無理してきたのは自覚してる。父にもそこまでしなくてもと心配されたが転職して1年も経ってない若造が仕事をほっぽり出し悠長に旅行かなどと言われたくはなかった。
表立った反発は無いがやはり社長の息子だというだけで突然副社長に就任した蒼士を快く思っていない人間もいる。
そんな空気を察して初めは転職するんじゃなかったと後悔もしたが、梨香子と出会い気持ちも変わった。自分の仕事に誇りを持つ理香子に触発されたのが大きい。梨香子を見ると自分も頑張ろうと思える。今の職場にも馴れてきたが女にうつつを抜かしているなんて絶対言われたくない。恋をして逆に浮かれてばかりもいられないと気を引き締め仕事に打ち込んできた。
蒼士の原動力は梨香子なのだと気付くとこんな自分は初めてだとしみじみと思う。
「こちら同じツアーに参加する深田ご夫妻なの。ご夫婦でアンティークショップを経営してるそうよ。さっきご挨拶して蒼士くんの事を話してたのよ」
「へえ、そう。三雲と言います。ツアーでは仲良くして下さい」
「勿論です。お互い今度お店にも顔を出すと約束したんですよ、ぜひ三雲さんも一緒に来てください」
「もちろん喜んで行きますよ」
楽しそうに笑う深田夫人ににこやかに会釈したご主人は寡黙な人のようだ。
二人の優しげな雰囲気に梨香子も既に心を許してるようで楽しみですねと話に花を咲かしている。
せっかくの梨香子との旅行だ、独占したいのは山々だがツアーなのだから仕方がない。
楽しそうな梨香子を横目に今日の為に仕事をこなしてきた蒼士は深いため息を零した。
かなり無理してきたのは自覚してる。父にもそこまでしなくてもと心配されたが転職して1年も経ってない若造が仕事をほっぽり出し悠長に旅行かなどと言われたくはなかった。
表立った反発は無いがやはり社長の息子だというだけで突然副社長に就任した蒼士を快く思っていない人間もいる。
そんな空気を察して初めは転職するんじゃなかったと後悔もしたが、梨香子と出会い気持ちも変わった。自分の仕事に誇りを持つ理香子に触発されたのが大きい。梨香子を見ると自分も頑張ろうと思える。今の職場にも馴れてきたが女にうつつを抜かしているなんて絶対言われたくない。恋をして逆に浮かれてばかりもいられないと気を引き締め仕事に打ち込んできた。
蒼士の原動力は梨香子なのだと気付くとこんな自分は初めてだとしみじみと思う。