大人の女に手を出さないで下さい

告白は気なり

「ママ~来ちゃった~」

「英梨紗~おかえりぃ!」

閉店間際の店に愛しい我が子の声がして、梨香子はテンション高く迎えに行った。
学校帰り着替えてきた英梨紗はオフショルダーのトレーナーにミニスカートとちょっと露出の高い服装で通りすがりの男どもがつい振り返るほど無邪気に笑う笑顔が可愛い。
梨香子はいつもの如く英梨紗をぎゅうっと抱きしめて肩を抱いてエスコートした。
通りすがりにまじまじと見てくる男性にギロリと痛い視線を突き刺すのを忘れない。
男性はそそくさと去っていった。

「梨香子さん」

「あ、蒼士くんお疲れ様」

「お疲れ様…梨香子さん、彼女が?」

「そう、私の娘英梨紗よ。英梨紗、この方三雲蒼士さん。三雲オーナーの息子さんなの」

「はじめまして、国永英梨紗です。母がいつもお世話になってます」

「いえいえこちらこそ…」

梨香子は自慢の娘を紹介して満足げに礼儀正しく挨拶する英梨紗を見つめている。
そんな梨香子と英梨紗を交互に見て蒼士は少し言葉に詰まった。

「あ…娘さん高校生とはは聞いてたけど…、梨香子さんとよく似てますね姉妹みたいだ」

「あらそお?どうする英梨紗~姉妹だって!」

「え~ちょっと嬉しいかも~」

嬉しそうにいちゃいちゃしてる母娘に目を細め羨ましいなとちょっと思ってしまった。
いつもはそっけない梨香子がこんなに慈愛に満ちた瞳で娘を見つめ仲よさそうにしている。
その瞳がこちらにも向いてくれないかと切なく思ったりする。


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