大人の女に手を出さないで下さい
そして帰り、ツクヨミさんに会うと意味深なことを言われた。

「リカ、体の変調があるのではないか？早めに病院に行った方がいい」

「それは病気かもしれないってこと？」

この体のだるさや眩暈は病気の前触れ？怖い事を言われ梨香子は青ざめた。
ツクヨミさんはそれには答えずふっと笑って帰ってしまった。
言い逃げは酷いわと梨香子は深いため息を溢す。

もし、病気だったらどうしよう。もし、死ぬような病気だったら…。
英梨紗を一人にするわけにはいかない。
蒼士にも悲しい思いをさせてしまう。

「そんな…まさか…」

恐ろしくそして悲しい事態を想像しただけで寒気がして梨香子は両腕を抱くように立ち尽くした。
吐き気まで催して口元を押えとにかく帰ろうと足を動かす。
今すぐ病院に行きたいところだけどもう診察時間は過ぎている。
一瞬、蒼士の友人が勤めてる病院に頼めば今からでも診察してくれるかも、と思ったけど、頼めば当然蒼士にも知られてしまう。
本当に病気かわからないのに余計な心配をさせてしまうのは忍びない。
今度の休みに病院に行くしかない。
もし病気だったとしても蒼士にも英梨紗にも真実を打ち明けるのは自分の心の準備が出来てからにしたい。
考え事をしながら歩いてると、ふと、ドラッグストアの前に差し掛かった時、あることを思い出しちょっと前と同じ言葉を呟いてた。

「そんな…まさか…」

ツクヨミさんは笑って帰って行った。
深刻な内容の時にツクヨミさんが笑うなんてありえない。
梨香子は明るいドラッグストアの光を浴びながらそんなことを考えていた。

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