大人の女に手を出さないで下さい



「ただいま~。クラブの総会で遅くなっちゃった~」

英梨紗が家に帰ると梨香子がテーブルに肘をつき祈るように俯いていた。

「ママ?どうしたの?」

「英梨紗…どうしよ…」

珍しく弱弱しい声を出す梨香子に英梨紗は慌てた。

「え!?どうしたのママ!何があったの?蒼士くんと喧嘩した?お店で何かトラブッた!?」

深くため息を吐く梨香子は力ない笑みを浮かべ首を横に振る。
どうしちゃったの~?と焦り気味の英梨紗。
アワアワしてると梨香子はふう…とため息をこぼし視線は下へと向いていた。
その視線を辿り英梨紗はテーブルの上に置かれた用紙と箱を見て目を見開く。

「ま、ママこれ…」

「ほんと、どうしよ…」

額を押え憂いを帯びた梨香子の表情を見て英梨紗は息を呑んだ。
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