大人の女に手を出さないで下さい
「なんて日なんだ今日は…最高すぎて、どうにかなりそうだ…」
「蒼士くん…」
蒼士は感動して言葉に詰まっていたらしい。
梨香子はホッと胸を撫で下ろした。
はあ~っ、と一つ大きく息を吐き、蒼士は涙を無造作に拭い梨香子を抱き寄せお腹に手を当てた。
「ここに、俺たちの子がいるのか…」
「そうよ、私たちの天使ちゃん」
「ありがとう梨香子さん。最高に幸せだよ」
蒼士は潤む瞳で蕩けるような笑顔を梨香子に向け二人は微笑み合った。
感極まった梨香子も涙を浮かべる。
自然と二人は重なり式では出来なかったキスを交わした。
そこにタイミングよく扉が開き、バッチリキスシーンをみんなに見られてしまった。
キャー!ヒュー!っともてはやす歓声に蒼士と梨香子は慌てて離れ梨香子は恥ずかしくて顔を真っ赤にする。
花弁とライスが入った籠を持ち両脇で待ち構えてる面々を待たせてはいけないと、陰に隠れそうな勢いで恥ずかしがる梨香子を抱き上げた。
それにさらに歓声が上がり梨香子はブーケで顔を隠す。
「お、重いでしょ、降ろして蒼士くん」
「これが命の重みだと思うと感慨深いな」
「何それ、重いって言ってるでしょ?」
じろりと下から睨んでくる梨香子に蒼士は笑った。
「いや、全然」
蒼士は平然と梨香子を抱き上げたままライスシャワーを浴び最後まで歩き切った。
祝福の雨に梨香子も機嫌を戻し笑顔でブーケトスをした。
受け取ったのは何とトミちゃん!
落ちてくるブーケに猛然と突進してみんな避けてしまったのが勝因のようだ。
「やったわ!次に結婚するのはあたしよ!」と叫んでいた。