大人の女に手を出さないで下さい

縁とは危なり



・・・・・

梨香子は仕事終わりの夏の夜空の下、プティビルの駐車場でソワソワと落ち着かない。
フッフッフッ…誘われちゃった〜とニヤけそうな顔を一生懸命戻そうと頬を押さえていると一台の高級車が目の前に来て停まった。

「お待たせしましたかな?」

「いえいえ今出てきたところですから」

運転席から颯爽と降りてきたのは三雲オーナー。
梨香子は蒼士の父敏明に食事に誘われて有頂天だった。
蒼士が今の梨香子を見たら自分との態度の差に憤慨しそうだが今日は居ない。
助手席を開けさり気なく梨香をエスコートし機嫌の良さそうな彼女に敏明も頬が緩む。
二人が向かった先はホテルの上階にある眺めのいいフレンチレストラン。
窓際のテーブル席で目にも美しい料理に舌鼓を打った。
和やかに食事も進んだところで敏明が話を切り出した。

「国永さん、いつも蒼士がお世話になってるようですみませんねえ」

「い、いえいえそんなお世話なんてしてませんよ」

蒼士はいつも店に来て勝手に手伝って話して帰るか、デートに誘われてたまに英梨紗やトミちゃんと一緒に食事をごちそうになってるだけでどちらかと梨香子が蒼士にお世話になってるようなものだ。

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