大人の女に手を出さないで下さい
「ねえ、トミちゃん。私に恋愛なんて出来ると思う?私は出来ないと思うわ、全然想像できないもの」

「何言ってんの?恋愛は想像するんじゃなく堕ちていくものなのよ!あんたも気が付いたら堕ちてるパターンよきっと!」

呟くように言えばトミちゃんはパン!と飲んでたコーヒーカップをテーブルに叩き付けたものだからちょっとコーヒーが飛び散った。
そんなのもお構いなしにトミちゃんは持論を飛ばし、梨香子は慌てておしぼりでテーブルを拭きながら苦笑いを溢す。

「いや、もうこの歳だしね…」

「45が何なのよ!人間いくつになっても恋は出来るのよ!恋は人生のスパイスなのよ!刺激を求めなくてどうするの!」

「え~でも何か考えただけで疲れるよ、私は店と娘がいれば何もいらない…」

「もう!リカちゃんはいい女なんだから!自信持ってもっと前向きに考えなさいよ!」

今度はプンプン怒り出したトミちゃんを宥めるのに苦労した。
梨香子が素直に頑張るよと言えば治まったのだろうけど、それはなんだか言えなかった。

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