恋×チョコレート
「……できた……」

菜月は、出来上がったカップケーキを味見する。初めて作った本命チョコだったが、おいしく出来上がっていた。

「喜んでくれるといいな……」

菜月はノエルのことを考え、頰を赤く染めた。



バレンタインでチョコレートを渡すのは、日本だけの習慣だ。海外では、女性からではなく男性が花やカードを贈ったり、お互いにプレゼントを交換したりする。

ベルギーに菜月はいるが、どうしてもノエルにチョコレートを渡したいと思った。他の女の子がしないことをしたい、そう思ったからだ。

バレンタイン当日。今日は日曜日だ。

菜月はドキドキしながら冷蔵庫の中を見る。昨日一生懸命作ったカップケーキがちゃんとあった。

ベルギーはチョコレートでも有名だ。気に入ってくれるか菜月は緊張する。

「おいしいって言ってもらいたいな……」

そう呟き、菜月はネコ柄の可愛らしいパジャマから着替える。おめかしをしている時、まるで菜月はノエルに告白した時のように緊張していた。いや、彼と会っている時はいつもドキドキしているのだが……。
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