恋×チョコレート
「lk zal je dit geven(これあげる)」

菜月の目の前で、カップルがプレゼントを交換し合っている。プレゼントをもらった女性は「Dank u(ありがとう)」と喜びに頬を染め、人目も憚らずに男性に抱きつく。その様子を見て、菜月は羨ましくなった。

菜月は恋をするのは初めてではない。しかし、いつも誰かを好きになっても、想いを告げることさえできなかった。その間に好きな人は違う誰かと付き合い、寂しい思いをする。

あんな風にノエルも甘えてほしいのかな、菜月は不安になっていく。自分からキスをしたこともなく、「IK hou van jou(愛しています)」と言ったのも、告白をした時だけだ。

デートへ誘うのも、手をつなぐのも、抱きしめ合うのも、キスをするのも、いつだってノエルからだった。自分から甘えたことなど、ほとんどない。

「……私、ダメな彼女だな……」

そう呟くと、菜月の胸はギュッと苦しくなる。ますます悩みは大きくなっていった。
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