恋×チョコレート
「どうしてそんな顔してるの？菜月にそんな顔、似合わないよ？」

うつむいていた菜月の頭に、ふわりと柔らかな手が乗せられる。そして、優しく頭が撫でられた。

「ノエル……」

菜月が顔を上げると、金色の外にはねた髪に緑の目の可愛らしい顔立ちの男性がいた。緑のリボンのついた服を着ている。

「あ、ごめんなさい……。少し考えごとをしてて……」

菜月は慌てて微笑み、ノエルにブラウンのおしゃれな紙袋を手渡す。この中に作ったカップケーキが入っている。

「気に入ってくれるといいけど……」

「え、どうして菜月がプレゼントを渡すの？」

「日本では、バレンタインは女性が男性にチョコレートを渡す日なの」

紙袋を渡されて戸惑うノエルに説明し、菜月は笑う。その刹那、ギュッとノエルに抱きしめられた。

「Dank u（ありがとう）Je bent de enjge echte（僕にとって君は特別だよ）」

菜月は一気に恥ずかしくなる。周りの人の視線を感じ、ノエルに「恥ずかしい……」と呟いた。
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