女40歳、お嫁にもらってもらいます!
おまけに汗だくの私は女ながらに加齢臭を気にしたが…。

もうそんな心配はすぐにどこかへ吹き飛んでしまった。

そう、私はいつのまにか緊張感がぱちんと切れて、眠り込んでしまったのだ。

もう少しで寝過ごすところだったぐらい、ぐっすりと。

そんな焦った気持ちでやっとたどり着いた私の家の前に人影…。

「良かった…。帰って来たんですね。」

暗闇でも分かるその声。

でもその人影…、大野くんは疲れたように笑った気配だけを残し、身体の方向を変えた。

「大野くん?」

「あっ、すいません。泊りの出張になるかもしれないと主任が連絡して来た時から、気持ちが落ち着かなくて。ついここまで来てしまいました。」

「大野くん…。」

「分かっています。係長に迷惑をかける事はしません。」

大野くんは視線を上げる事もせずに、ポツリと、でもハッキリと言った。

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